Lupin(Short)
□待っていたわ
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ルパンの目の前に、一人の男が立ちはだかった。
「待っていたわ、ルパン三世」
不機嫌そうな顔に似合わない、小さな可愛い声。
ルパンは露骨に嫌そうな顔をする。
「俺、そーゆーシュミないんだけど」
「俺だってねぇよ。しゃべったのはコイツだ」
男はぶっきらぼうに言い、親指で自分の背後を指さした。
「悪いな、極度の人見知りでよ」
そう言って背後から小さな少女を引っ張り出す。
身長150センチほど。
陽の光のようなプラチナブロンドに、白いレースのリボンが揺れている。
「いい加減俺にひっつくのを止めろ、ホームズ!」
「だ、だってワトソンさん……」
少女はルパンをチラリと見ると、もじもじして俯いた。
その様子に微笑みを浮かべ、ルパンは口を開いた。
「可愛い子に待ち伏せされるのは悪くないけど、俺、お嬢ちゃんの事知らないんだよなぁ……」
「コイツはアン・シャーリー・ホームズ、探偵だ。俺は助手のワトソン」
男が短く紹介する。
「探偵? こんな小さい子が?」
「こう見えて彼女は18だ」
ルパンは目を丸くした。
どう見ても10歳かそこらにしか見えない。
「女王陛下だって同じお背丈よ」
ホームズは口をとがらせながらワトソンの背後に隠れた。
「俺たちはスコットランドヤードから依頼を受けて、お前の逮捕に協力している」
ワトソンが言うと、ホームズは頷いた。
「ICPOのゼニガメ? とかいう人からの要請だそうです。まぁいずれにせよ、ワトソンさんはヤードのレストレード警部の頼みは断れないですから」
「ICPOだろーがNCAAだろーが、ソフィは関係ない」
銭形にバスケは無理だろう、などと内心ツッコミながらルパンが肩をすくめていると、ワトソンが言った。
「貴方がケンジントン博物館の不思議なサファイアを盗んだのはわかっているわ」
……訂正。
喋っていたのはワトソンの背後に隠れたホームズだった。
「あれ、バレてた?」
ルパンは肩をすくめてペロリと舌を出した。
「えぇ。スミソニアン博物館のホープダイヤも貴方でしょう? それから、ロンドン塔のコイヌールも」
「よくおわかりで」
ルパンは笑って認めた。