夏目夢物語

□夏目と少女
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ー小さい頃からよく変なものをみた。
おそらくそれは妖怪と呼ばれるものの類。

「先生ー、ニャンコ先生ー。どこだーー…。」

ー妖力の強かった祖母、夏目レイコが打ち負かした妖怪達の名が書いてある契約書の束「友人帳」
孫である俺がそれを受け継いでからは、名を返してくれといってくる妖怪や、友人帳を狙うもの達に追われ、忙しい日々を送っていた。

が、

最近はそのような事が起きない。
おかげで安心だが、最近は不安も覚えるようになった。
ー嵐の前の静けさかー

いや、そんな事は考えすぎか。妖怪達が友人帳を狙わないなら、そ………(ぐにっ
……ん?何か…踏んだか?

「って!うわーーー!!中級ーーー!!」

踏んだものを確認しようと足を退けて視線を下に落とすと
中級の一つ目と牛が、隣同士で仲良くのびていた。

「おいっ!中級!大丈夫か!?」
目を覚ませと言わんばかりに中級達の身体を揺さぶる。
「んっ?おお!これはこれは夏目様!お久しぶりですなぁ」
「久々に会ったらなんだ……どうしたんだ。」
「そうだ、夏目様!我々をお助け下さい〜!
このままでは七つ森も八っ原も秋を愛でる事なく凍える冬に行ってしまいます〜!」
「わかったわかったから…。で、どうしたんだ?」
「はい。最近ここらで大物の妖と祓い屋が暴れていまして……しかも大物の妖が通った道の紅葉はみんな枯れ落ち葉になってしまうんですよ…これでは秋の美しい紅葉をみながら酒を楽しめません!」
「そうか……」

ー祓い屋…名取さんはそんな事をする人ではない…
だとしたら……。

「…その、妖の名前は知っているか?」
ーもしかしたら、友人帳に名があるかもしれない。
「なんでしたかね…確か…姫…椛…。
おお!確か祓い屋が椛姫と呼んでおりました!」

ー椛姫…。

「わかった!ありがとう!」
ーもし、また友人帳狙いの妖だったら…
藤原夫妻や周りの人達に迷惑をかけるかもしれない…!

「あ!お待ち下さい、夏目様〜!」
走り出そうとする俺を中級が止める。
「なんだ、急ぎたいんだが」
「その妖、どうやら夏目様の事を狙っているようなので
お気をつけを〜!あの妖は斑様でもわかりませぬぞ〜」

「わざわざありがとう!じゃあな!」
ー先生でも敵わない妖だって?
そんなのがここら辺で…
ー俺を…狙って…。
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