となりの怪物くん
□夏の夜空の贈り物
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お言葉に甘えて5時間に渡るあさ子ちゃんの追試対策講座に始終付き合ってもらっちゃいました。
ちなみに追試は明日。
あさ子ちゃんはうとうとしながらもノルマ達成して、ペコペコ頭下げたあと素早く帰宅。
雫ちゃんはハルに送ってもらっていた。
「みっちゃんさん、遅くまですみません」
あくびをしながら店の掃除をするみっちゃんさんに声をかけて帰ろうと荷物をまとめる。
「いーよいーよ、またおいでね。
てゆーかそこの少年たち、女の子一人で帰すつもりかい?」
「あ、いや…あたしは全然!」
「オレが送って行きます」
マーボくんたちより先に帰る準備ができていたヤマケンくんが言うと、
「あっ、ずりーぞヤマケン!」
「抜け駆けか!?」
そう訳のわからないところで突っかかってきた。
君たちはよくわからんよ…。
「…行こ、神崎サン」
「あ、うんっ…?」
そんなことはお構いなしに店を出るヤマケンくん。それに続いてあたしもブーブー言ってるマーボくんたちを置いて店を出た。
けっこう遡ったけど…
これか、きっかけは。
* * *
夏の夜空は、澄んでいていてどこか儚げで。
雲がないから夏の大三角や北斗七星がよく見えた。
そんな夜空に目を奪われて上を見上げながら歩いていると…
「っ、神崎サン!」
「へっ!?ぅわ…っ!」
柔らかい衝撃と共に何かいい匂いが…
っじゃなくて!
何が起きたの?
「前見て歩けよ…」
頭上からヤマケンくんの声がした。
てかこれって…
抱き締められちゃってません?
視線をさっきまであたしが歩いていた場所に移すと、そこには立派な電柱さまが…(ただの電柱です。)
「なるほど、また助けられちゃったね…」
「危なっかしいな、神崎サンて。」
「うっ…よく言われます…。」
…ところで、そろそろ息が苦しいのですが…
そして何だか恥ずかしい!
ヤマケンくんは一向に離そうとしない。むしろ抱き締める力を強めてる。
「あの、危なっかしい気持ちはよくわかるけど…っ!」
そう言ってヤマケンくんの胸を軽く押すと、ヤマケンくんは渋々身体を離した。
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そして物語は冒頭へ戻る。