となりの怪物くん
□艶雄ジュニア
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「………」
オレは今、その"大切な人"である恋人の怜香に見つめられている。その眼差しは何かを期待したようなものではなく…何考えてるかわからないような眼差し。
「…な、なに…?」
さすがに照れ臭くて顔が熱くなる。
どんな眼差しであれ。
「………艶雄ジュニア…」
怜香がオレから視線を外してボソッと呟いた。
「あたし、優山の愛人になっちゃうの?」
…何を言い出すと思ったら…
でも表情からしてふざけてはなさそう。むしろ悲しそうに言った。
「そんなわけないよ、怜香はずっとオレの恋人だ」
ずっと…という言葉がさりげない結婚宣言だって言うことは気づかないと思う。まぁそんな言葉でプロポーズを済ませるつもりはないけどね。
「そっか…よかった!絶対だよ?」
パッと表情を明るくさせてオレに小指を差し出す怜香。
「うん、絶対。約束するよ」
そう言って小指を絡ませる。
「指切りげんまん!」
子供みたいに無邪気に絡ませた手を振る怜香を見ると、逆にこっちが心配になる。こんな人形みたいに可愛い怜香を世の男どもが放っておくはずがないから。
現に、声をかけられて危なかったことだってあった。
「あたしには優山だけ…」
怜香はそう言って抱きついてきた。その言葉で、さっきまでオレが考えていたことが吹っ飛ぶ。
「何も心配しなくていいよ」
たまらなく愛しいその体を優しく包み込んだ。