短編集

□狂喜も愛せ
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【いくら人を切り刻んでも光秀様は満足はしてくださらない…

あぁ…私はどうしたらあの素敵な満足した笑顔に会えますか?】









「何をひとりで百面相しているのですか?」

『えぇ…光秀様がどうしたら満足した笑顔を見せてくれるのかと…考えている最中です』

「私が満足を?」

『最近は戦も無く平和でしたから光秀様の満足した顔が見えなくて』

ふと目の前に黒光りする塊が突きつけられ顔をあげる…と、そこには光秀様の愛鎌が鈍く輝いていた

「あぁそんな事ですか…それならお前を切り刻んで満足することにしましょう あぁでも城の手頃な者を切っても変わりませんねぇ」

平然とそして僅かに微笑みながら言ってのけるのは流石、我が主…光秀様


『そのお言葉、今の私にはとても嬉しい事ですが……今、私の首をもいでしまわれては今後光秀様の戯れに付き合う者が居なくなりますよ?それでも良いならどうぞ私の首をお切り下さい』

そっと背中側から首筋に当てられた刃が小さく揺れ始める……あぁ、きっと首を切りたくても切れなくてイライラしている証拠だろう

『で……どうするのですか?首をお切りになさるのか、それとも生かしておくのか…どちらで
す?』

我ながら主になんて事を言っているのだろうかと思ったりもするが、こんな事が毎日だからもう慣れたようなものだ

「…戯れる者が居なくなっては困ります…やはり花焔には血は流して貰いますが死は与えませんよ……」

そう言って大人しく愛鎌を離すわけでもなく、ゆっくりと鎌をスライドさせて離していく光秀様

『光秀様 …!』

首筋の皮膚が切れじわりとした痛みと共に血が流れ始める



「クハハハハ!やはり花焔には血が似合っていますね…もっと血だらけにしてあげましょう」

あぁ、耳元で狂気で歪んだ光秀様の声が聞こえる


『光秀様……?』

振り返りたいが振り返りたくない
何故なら愛鎌を持って至福の笑って立っている光秀様を見てしまう事になってしまう
いや、見てみたいのは山々なんだが…

「さぁ…逃げなさい、私の鎌で死にたくないのなら……」

鎌を擦り合わせる音が酷く廊下に響き渡った
それを合図に走り始める
これは命をかけた鬼事…
後、数秒もすれば光秀様が獲物(私)を捕らえる為に至福の顔で追いかけてくる事でしょう

なんて破天荒で可愛らしい主







『付き合って差し上げましょう、
貴方様が笑顔で微笑んでくださるのなら』

例えそれが狂喜に満ちていようとも…

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