短編集

□青い舌
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三成 吸血鬼
男主 使い魔


「ふぁ…暇…」

薄暗い廊下をフラフラと低空飛行しながら花焔は眠そうに呟いた

まだ夜になったばかりというのに知り合いに叩き起こされ食事と言わんばかりの行為を受けたのだ

半分寝ぼけてたとはいえ無遠慮に貪られて正直なんだと言いたかったが、相手も相当疲れ窶れていたのであえて何も言わずにされるがままにしたのだ

「ケケケ…ほんとぉ助かりましたよぉ花焔さぁん 文句ならあのあほ官に言ってくださいねぇ」

最後にペロリと舐められた舌がヒリヒリとして花焔はもごもごと舌で咥内を舐めてそれを紛らわした


「はぁ…どっか寝れそうな場所ないかな…」

魔力がそこそこある為か起床時間になると知り合いが食事をしに花焔に群がる
使い魔でなければ大好きな主の膝で好きなだけ甘えられるのに…これじゃあ魔力タンクだよ、ふええ

とか思いながら花焔は確か地下にいい場所があると思いだし誰にも見つからないよう急いで地下への扉に体を飛び込ませた

短い階段をくだった先は少し開けた部屋になっている 部屋の中心にある古びた棺桶に目をつけて急いで隙間に体
を入れそっと蓋を閉め安堵のため息を吐いた時だった

「ここなら誰もいな……」

「なんだ、貴様か 自ら飛び込んでくるとは一体なんのようだ?」

誰もいないと思って飛び込んだ棺桶には知り合いも知り合いの吸血鬼・三成の顔
びっくりして飛び出ようと突っぱねた両腕は既に三成によって拘束され身動きのとれぬまま三成を見つめるはめに

「う、なんで三成…刑部の部屋にいつもいるのに…んぅ」

刑部と名前を出した瞬間 花焔の唇を三成の赤い舌がゆっくりとなめあげた

「ふん、貴様には関係ない事だ だが、この部屋は私の部屋として使っている 貴様こそ何故私の部屋に入り込んだ」

「う、寝床を探してて…」

「大方 又兵衛にでも食事されて逃げて来たのだろう あの蜥蜴野郎…」

耳元で不機嫌そうに言われ花焔は頷くことしか出来なかった





「………貴様…、花梨舌を出せ…」

「舌…?こう?」

少しの間が間のちに三成は花焔に舌を出せと言ってきた なにもわからないまま花焔が舌を出すと細く長い指がなんの前触れもなくつまみ触る
それが、あまりにも気持ちがいい場所をかするものだから
花焔は時折 鼻から小さな声を出して三成にもたれ掛かった

「チッ…あの蜥蜴 後で斬殺してくれる…」

「……??」

しばらく舌を触るだけ触って三成はそう呟いたかと思いきや 不機嫌そうに息を吐き次の瞬間 花焔の首元に鋭い牙で噛みついた

「あ゛?!」

ぶつりと肉に牙が刺さる音がしその後になんとも言えない感覚に花焔は狭い棺桶の中悶えアッアッと小さく喘ぐ

それは急過ぎる食事
無遠慮に何度も鋭い牙を突き立て花焔から血と魔力を吸い上げていく三成

「…ん、次から私の部屋で寝ろ…いいな」

充分に血を吸って満足したのか三成は最後に優しく花焔に口付けて棺桶の蓋を開けた

「みつ…」

「なんだ?」

「吸うのはいいんだけど、動けない…連れてって」

「…っ!もっと鍛えろ!!仕方無い…落ちないように捕まっていろ」

「は〜い」

力ない腕で三成にしがみつき花焔はぺろりと自身の青い舌をだしてほくそ笑んだ

(後で刑部に報告してやろ…三成はツンデレデレだと)
 

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