海賊
□エース来航(Z×S←A)
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真夜中、赤い火の灯る一隻の小舟がGM号に寄せられる
「お邪魔しますよっと」
トン、と船内に足を踏み入れたこの男はルフィの兄であるエースだった
「そういや、夜来るっつーのは初めてか。相変わらず警備甘ぇなァ」
大丈夫かよウチの弟は
その弟が今日の見張り番
最初にグランドラインで出会ってから、エースは何度かGM号に足を踏み入れていた。そしてその度にこの船のコックであるサンジに飯を作ってもらうのもまた習慣のようになっていた
「…コック君起きてねぇかな」
起きてたらメシ作ってもらおうと彼の巣であるキッチンへと向かった
「お」
キッチンにはまだ灯りが灯っている。期待も膨らみドアノブを握ると、中から誰かの話し声が聞こえてくる
「…誰か起きてんのかな」
丸い窓からひょいと覗く
そこから見えたのはサンジとイスに座り酒をあおるゾロの姿
「あれ、剣士君か。…この二人って仲悪いんじゃなかったっけ」
自分の見る二人といえば
対象的で、接点は少なく、口を開けば喧嘩ばかり
(案外仲いいのかね)
ドアノブを握る手に力を込めようとした、その時、つまみをテーブルに置くサンジの細い手首をゾロの手が掴んだ
(…ら、喧嘩かな)