海賊

□不憫な男の処世術(Z×S←G)
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「……んん……」


「…サンジさん?よかった…アンタ目ェ覚まさねえから」


異常に丈夫だということは嫌と言うほど知っていたのだが
半端じゃない高さから落下した上、頭を強打したらしく
様子を見るためとりあえず目に入った宿屋に運び込んだという訳だ



断じてやましい意図でなく


「ほら、水だ」


「…ああ…悪い…」


「……」


つい

上下に動く白い喉元に、
水滴が伝う唇に目を奪われる


いや、断じてやましい気持ちはないんだ

そう邪念を振り払おうと一人葛藤していると
サンジはサイドテーブルにグラスを置き
再びベッドに体を沈めていた


「まだ痛むか?」

「………」


問いには黙ったまま
目だけをこちらに向ける


何処か、おかしな所でも打ったのだろうか

先刻から口数は少なく
じ、と一点を見つめるように目の動きはゆっくりとしている
 
そんな様子にのぞき込むと
ス、と細い腕が襟元へ伸びてきた


「…サンジさん?」


どうした、と問いかけようとする間もなく掴んだ襟をグン、と引かれ

バランスを崩してサンジの横たわるベッドに片手を付いた


「…と、悪いサンジさ……」

「!」

(………う、わ……)


ドキ、というか
ギクリとするほど顔が近くにあって

あの時から全く変わらない美しく澄んだ青い目に吸い込まれるようだった


「……」


その目に視線を奪われて離せないままでいると

またさらにぐい、と引き寄せられ
ふわりと纏う香りが鼻に届く


(サンジさん?)
 


それと共に


「ン」


柔らかな唇が自分のそれに重ねられた


 
 
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