odai*boco

□12.立てない
1ページ/1ページ





「痛いの飛んでけー」


「……飛んでかないよ?」


あたしの足首。
はしゃぎ過ぎたらこんな結果。うわ、腫れてる。
痛くてたまらない。


「大体何でこーんななんもねぇとこでコケんだよ、お前は」


大きな手が足首に触れる。
あ、ちょっとひんやりして気持ちが良かった。
もっと触っててくれないかな……。
気持ちとは裏腹に、すっと離れる愛しい君の手。



こうなりゃあ……!


「ティキ!」

ニッコリと最高のスマイルで、ちょっと上目使いも入れて。お目々はキラキラ。
お願いするの。
座ったままで大きく手を広げ、彼に甘えればホラ!


「しょーがねぇなー」





……ソコはお姫様抱っこでしょ!
色男が聞いて呆れちゃうじゃない。もうー。


おぶさりながら感じる風は、ひんやり冷たい。
でも背中からはほんのり温かさが伝わってきて。
なんか変な感じ。



「ティキ、髪ワカメー」

「ワカメって言うな」

「モジャモジャー」

「バッ…!引っ張んな!」




早く家に


カエローヨォ。




くしゃくしゃの髪を弄りながら。
あたしはすぐ後ろで、吐息がかった声。
耳の傍でささやけば。




少しはドキッとしてくれる?





_
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ