odai*boco

□07.殴られた
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「……ッタァ…」


「あれぇー?ソレどーしたのぉ?」

「うっわ、ひっでぇなー!なんだソレ」

「ヒッ、痛そう……」


次々に部屋に入ってきた家族達は、あたしの惨状を口々に言う。

最悪な程、腫れ上がっているあたしの頬には湿布薬。
乙女な年頃にこの香りがどれ程ツライか……。
女の子にはあるまじき、この腫れ具合。
そりゃあ、酷かった。




「エエエ!?お前、男に殴られたのか!」

「やり返しちゃえば良かったのに……!」

「へぇー、ボーイフレンドいたんだぁー」




「ボーイフレンドってわけじゃないわよ、ただ……」

「「「……タダ??」」」






真っ赤に腫れたほっぺを優しくさすりながら、あたしはだんだん気まずくなる。



「ただ……ちょっとカワイイ顔してたから……」

「「「……ダカラ?」」」

「少しくらいならお茶くらい………」





「「「……行ったの(ぉ)(か)!?」」」




「うん……そこで付き合えって言われて……」


「「「どうなったの?」」」






額から出る汗をごまかしながら、ニッコリ微笑む。


「ちゃんと断ったわ!」




「「「………で、ソレ?(殴られ跡、指さし)」」」


「一昨日おいでませって言ったら、癪に触ったみたい」


「ふぅーん、でもさぁー…」

「お前が相手に殴らせておくって珍しーんじゃねぇの?」

「いつもなら面倒だから始末しちゃうクセにっ」





なんでこういう時ばっかし、この子ら息合い過ぎなんだろ。



「え、なんか可哀相でねー」


苦笑しながら返答するあたし……はぁ、いたたまれない。



「同情しちゃったんだぁー、その男の子可哀相ぉー」

「きっとコイツ、かなり蔑んだ目で男の事見てたんだぜ」

「ヒッ…!だから殴られちゃった…!」


「ティッキーは知ってるのぉ?」


「…………」






くると思った、予想はついてたけど……。
言ったよと言えない自分の正直さが憎らしい…っ!!









「「「じゃあ、言っちゃおー!!!」」」







「………もうちょい大袈裟に話変えておいてね?」



「えーめんどくせぇ!お前のオヤツと交換な!」

「ティッキーに心配してもらえるようにデショ!」

「今度、宿題手伝ってくれるよねぇ?」




「ハイハイ、全部承諾。頼むわよ、あたしの天使さん方」





こうなったら、家族に癒してもらいましょ。






此処は世界一愛しい天使達がいるところ。




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