テニスの王子様
□Please give me
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部活が終わった今も、不二は女子達に囲まれて中々帰ってこない。
海堂はベンチに座って自分が作ったチョコレートの包みを見つめていた。
海堂は不二の周りの女子達のチョコレートと、自分が作ったチョコレートを思い出して、今まで一人で浮かれていた自分が馬鹿らしくなった。
不二はあんなに綺麗に包装された(きっと中味も美味しいだろう)チョコレートをたくさん貰っているのに、自分はこんな不格好な包みで……
チョコレートだって本に載っていたようには上手くいかず、形が崩れてしまっている。
こんなものをあげたって、不二は喜んでくれないんじゃないだろうか。
一度そう思ってしまうと、海堂の思考はどんどん悪いほうにいってしまって………
「…っ」
いつの間にか、海堂の瞳には大粒の涙。
ポタッ… ポタッ… とぎゅっと持ったままのチョコレートの包みの上に零れ落ちていく。
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