歪みの国のアリス
□七夕
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────7月7日、それは一年に一度織姫と彦星が会える日。
朝 目が覚めるとビルはふとカレンダーに目をやった。
(……七夕……。)
7という多少大きめの数字の下に、控えめに七夕とその二文字はあった。
この国には七夕という行事は行われない。
しかし、このカレンダーの二文字はなんだろうと考える。
およそアリスが付け足したのだろうと考え付いた。
(………七夕。)
ビルがそんなことを考えていると、
「おはよう♪」
という声とともにやってきた。
「今日は七夕よ。」
ビルが朝の挨拶をする暇もなくアリスは続けた。
お決まりの相づちをいう前にアリスは
「もしかして七夕知らない?」
と聞いてきた。
カレンダーに『七夕』という文字がなく自分が付け足したことを思い出したのだろう。
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