レンタル・ガーディアン

□いきなりピンチ?!
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「なんでこんな目にあうんだ?」
廊下の物陰に身をひそめて俺は反撃の機会を待っていた。
「くそっ!仕事になんねぇ〜」
聞こえるのは俺を狙ったレーザーの音。
「ふぅ、そろそろ転職しようかな...」
俺は歌月ヒロト(かづき・ひろと)、レンタルガーディアン。直訳すれば借り護衛だ、正規な商売じゃないが、料金によって、ペット探しから上は暗殺まで手掛ける。んで、俺は今、誘拐されたギル星の皇女の救出を頼まれてこのネオ・トーキョーの一角にある屋敷に潜入した。
「ずいぶん長く隠れてるのね。」
俺の隣にいる皇女は言った。皇女ってんだから、もっときれいなねぇちゃんかと思ったら、まだ8歳のガキだった...
「はぁ...」
「ねぇ、ため息ついてないでどうするか考えてよ。」
えっと、確かさっきまで見つからずにすんでたのに、この皇女がくしゃみをしてセンサーに引っかかったんだった。俺は半眼で皇女を睨んでいた。
「だいたいお前がくしゃみするからだろっ!!」
皇女は答えないで口をとがらしていた。口だけは達者なせいか、その反応が子供っぽく、かわいく思えた。っつっても、俺はそんな趣味ねぇからな。
俺は肩越しにレーザーの音がする方をのぞいた。
「さて、どうするか?」
本格的にやばい状態だ。最悪だ、アリ一匹も通る隙もないくらいにレーザーが密集してた。
「ねぇ、お腹すいた...」
「いや、俺に言われても。あの中に行けば皇女の丸焼きができるぜ。」
俺は廊下の方を指差した。
「いじわるなのね。」
「...忍び込むのに食い物もってくるか!!」
俺がそう言った瞬間、レーザーの音が止んだ。不思議に思って再び肩越しに廊下の方をみた。何か小さなものが歩いていた。小さなねずみだった。
「...ねずみ?」
しばらく考えた。もしかしたらこのセンサーは「人間=二足歩行の動物」みたいに認知しているのか?俺は覚悟を決めた。
「皇女さん、俺が出て撃たれなかったら、同じようにして出て来い」
皇女に言って、俺はほふく前進をしながら出てみた。まあ、たとえ撃たれても皇女は無事だしな。
しばらく進んでみた。どうやら本当に「二足歩行」でなければ人間として見てもらえないらしい。ちょっと悲しいが...
「皇女さん、はって出て来い。立って歩かなければ平気だ。」
「うん、わかったよ。」
さすが子供である。面白がりながらはって進んできた。やっぱりガキでよかった、ねぇちゃんだったらはって進んでくれなそうだし。
「とりあえずこの廊下越えるぞ!」
「うん。」
レーザーが乱れ撃ちされていた廊下は静かである。嫌な予感がした。俺は窓を見つけた。
「皇女さん、あの窓をぶち抜いて逃げるぞ!!」
「えっ!?」
俺は皇女を抱きかかえて窓まで走り始めた!!
ニソクホコウ=ニンゲン
レーザーが飛び交いはじめる。人間と認められたわけではない、やっぱり誰かモニターから見ていやがった!!
窓を蹴り破って外へと転がり出た。
 

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