虹の賢者
□はじまり・青の賢者編
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しばらくして、がれきの下からディアナの両親を助け出した。
「ママ、パパ!!」
「ディアナ!!」
ニコラスはやさしく家族の再会を見守っていた。
「あなたが助けてくれたのね、ありがとう」
お礼を言われたことに少し照れくさくなったのか、ちいさくうなずいた。
「お礼をしてあげたいけど、街がこの状態じゃ…」
「いや、いいよ。お礼を言ってもらえただけでうれしいよ。」
どうやらディアナ一家は納得しなかったらしい。
ディアナは思い出したようにポケットから何かを取り出して、ニコラスに手を差し出した。
「何もお礼できないけど、これあげる。」
「なんだよ、別にいいのに。」
ニコラスが手を差し出すと、ディアナは持っていた青い石をその手に乗せた。
その瞬間に放たれた青い光がしばらくの間ニコラスの視力を奪った。冷たい風に頬をなでられて目をあけると、見知らぬ街にいた。
目の前には見たこともない人物が立っていた。
ローブのフードをまぶかにかぶった老人だった。
「誰だ?」
ニコラスは尋ねた。
「私は青の賢者…、実はお前様に探してほしいものがある…」
「探してほしいもの?」
ニコラスが質問をしたとき、また光に包まれていた。
目をあけると、ディアナが心配そうに見つめていた。
どうやらしばらく考え込んだように動きが止まっていたみたいだった。
「ありがとう。いいのか?もらって」
「うん、ニコラス兄ちゃんに持っててほしいから」
ニコラスは自分のポケットにその石をしまった。
船長の言ったとおり2日後に港を発った。海賊旗をなびかせながら。
「海賊だったのかあいつら…」
町長は言った。
「いい奴らだったなぁ。」
「街の片付け手伝ってくれたし。」
そう、ニコラスたちは海賊だった。
ただ他の海賊と違うのは、無差別に街を襲わず、ひどい略奪をした海賊たちから宝を奪い返して、一部を自分達に、残りを街に返して回るような不思議な海賊集団だった。
つづく