ナルサス部屋

□暑さ寒さをしのぐには?
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【暑さ寒さをしのぐには?】




「あちぃよぉー。サスケェー」

「煩い。寄るな」

「サスケェ〜」

「触るな」

「あちーよぉ」

「――っっ!ナルト!!」

「ううっ」

サスケに怒鳴られたナルトは、へたり、と床に突っ伏した。

「サスケェ〜。あーつーいーってばよぉ」

「暑い暑いばっか連呼すんな!」

「だってぇ」

「だーっっ!触るな!鬱陶しい!」

「ううっ」

先程から飽きることなくくり返されている、このやり取りはというと。

「暑い暑い」と言いながら、ナルトがサスケにくっついていくのが、そもそもの発端で。

くっついてくるナルトを、サスケは「ウザい」とばかりに、怒鳴りながら引き剥がしているのである。

では何故、ナルトがサスケにくっついて行くのかと言うと…。

「だってサスケってば、冷やっこいんだもん」

「ぁあ?」

怒気を向けるサスケに、ナルトは手を差し出した。

「ほら、サスケってば、ひんやりしてる」

掴まれた手のひらから、ナルトの体温がじんわりと伝わってくる。

それは、ともすれば熱いほどで。

「……お前、ほんと、体温高いな」

「んー。やっぱ、そーなんだ?」

ぼんやりと呟いたナルトに、サスケは苦笑する。

「多分、な」

そう言って額に触れてやれば、

「そっか…」

気持ち良さそうに、ナルトは目を閉じた。

「お前…。昔っからそうだったな」

「ん?何が?」

「体温」

サスケの言葉に、ナルトはうっとりと目を開けた。

「ふぅん?よく、わかんねぇ…てばよ…」

再びまぶたを閉じてゆくナルトに、サスケは呆れたように苦笑する。

「寝るなら布団に行け」

「あちぃもん」

「クーラーかけろ」

「え?!いいってば?」

瞬時に、パッチリと目を開けたナルトは、サスケを伺い見る。

サスケは、どちらかと言うと、クーラーが嫌いな方だ。

だから、暑くとも扇風機で過ごすのだが。

流石にここ連日の暑さにキたのだろう。

「ただし、部屋を冷やす程度だぞ」

とうとう、クーラーの使用許可を出した。

「やりぃ!クーラーだって、ちゃんと使ってやらなくちゃダメだってばよ」

家主のサスケの許可に、ナルトはいそいそと隣の部屋に移動する。

「そんなに使いたきゃ、自分で買えよ」

軽い足取りのナルトの背中に言い捨てれば、

「サスケん家にあるから、いいってばよ〜」

「…どーいう意味だよ」

「じゃあ、先に寝るってばよ〜」

低くなったサスケの声を無視して、ナルトは襖の向こうに消えた。

「………ムカつく」

後には、憮然としたサスケが一人、残された。
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