小部屋

□戦国弁佐5
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戦国弁佐5




「さすけ、さすけぇ」
「はいはい、俺様はここにいますよー」
「みてくれ!」
「!!」
見慣れた頭に、小さな小山。
「“ねこみみ”じゃ!」
「べ、弁丸さまに、耳が!」
「おおきな ちがう サスケどのが、つけてくれたのだ」
「ど、どーしよー! どーすればいいの!」
「さすけは、べんまるに やさしくして くれれば いいのだ」
「へ? 優しくしたら、耳は取れるの?」
「きょうは、このみみを つけたものに やさしくするひ なのだそうだ」
「そんな日あるの? 異国の何かかなぁ」
「だから さすけ。べんまるに やさしくして くれるか?」
「そりゃあ、もちろんだよ! 弁丸さまも、早くそんな耳、取りたいでしょ?」
「……」
しゅん。
「弁丸さま? どうしたの? どこか痛いの?」
「さすけは、このみみを とるために、べんまるに やさしくして くれるのだな」
「え?」
「もうよいぞ、さすけ。べんまるが わがままであった」
「ち、ちがうよ、弁丸さま! 弁丸さまに耳が付いてなくても、俺様は優しくしたいんだよ! 何でもしてあげたいんだよ! だけど、俺様、忍だから……」
「さすけぇ」
「弁丸さまっ」
「うわぁぁぁんっっっ!」
「大丈夫だから、泣かないでっ」


「あー。泣き疲れて寝ちゃったよ。いいのかねぇ。忍にだっこされて寝ちゃっても」
さらり、さらり。
小さな頭を、何度も撫でる。
ぽとん。
「ありゃ? 何これ。作り物だったの? なーんだぁ、慌てて損したぁ」
「…さすけぇ」
「はいはい。目が覚めた…訳じゃないね。寝言か」
「ぅぅ、ん…」
「優しく…か。どーしたらいいのかなぁ。俺様わかんないよ、弁丸さまぁ」




優しくするって、難しいね。




「ん…。さすけ…?」
「あ、起きた? 弁丸さま」
「うむ」
「もう安心していいよ? 耳は取れたから」
「……うむ」
「ねぇ、弁丸さま」
「?」
「あのね、俺様は、弁丸さまが大事だよ? ずっとお傍にお仕えできたらいいな、て思うくらいに」
「さすけ…」
「弁丸さまが、そう思ってくれれば、だけど」
「さすけぇ! べんまるも さすけが だいすきじゃ! だから、これからもずっと、べんまると いっしょにいてくれ!」
「弁丸さまぁ」
「さすけぇ!」






まだまだ子供だけど、精一杯の本当。


猫耳騒動(?)、これにてお仕舞い。(^-^)

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