小部屋

□戦国弁佐2
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戦国弁佐2




「弁丸さまー」
「さすけぇー。まんまるだー」
「はいはい。真ん丸お月さんですねぇ」
「おっきいな!」
「そーですねぇ」
「きれいだな!」
「そーですねぇ。でも、弁丸さまは、もう寝る時間ですよ」
「さすけぇ」
「はいはい」
「あの つきに さわってみたい」
「はい?」
「どこまでいったら、さわれるであろか…」
「うーん」
「だいぶん とおいのであろうか」
「そーですねぇ」
「さすけならば、かけてゆけるであろう?」
「いやいやいや、俺様でも無理ですって」
「そうであろうか…」
「だって、あのお月さんは、空に浮かんでるんですよ?」
「ならば、さすけの からすで とんでゆけぬか?」「それも無理じゃないかなぁ」
「だめか」
「ダメでしょうねぇ」
がっくりと項垂れる小さな主が、愛おしい故に、可哀想で。
「じゃあねぇ、俺様とっときの忍術で、何とかしましょうかねぇ」
「まことか!?」
「でも、人に言ってはダメですよ?何せ、忍術ですからねぇ」
「うむ!」
「じゃあ、手のひらを出して」
「こうか?」
「そうそう。それから、ゆっくり手を上げてね」
「うむ」
「はい、止めて」
「む?」
「ほら、よく見て。弁丸さまの手のひらの上に、お月さんが乗ってるよ?」
「おおっ!!」
「お月さんは、浮いてるから、軽いんだよ」
「べんまるの てに、おつきさまが のっておるぞ!」
「そうだね」
「すごいぞ!さすけぇぇぇ!!」
「お褒めに預り光栄ですよっと。…さーて、そろそろお月さんも放してやってくださいな」
「うむ」
「さぁ、弁丸。お部屋に戻りますよ」
「さすけぇ」
「はい?」
「たのしかったな!」






良かったですね、弁丸さま。

嘘も方便って事で。笑。

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