ナルサス部屋

□ケーキ作り?
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【ケーキ作り?】




「サスケ〜。ケーキ作ろうってばよぉ」

何やら袋一杯の荷物を持ってやって来たナルトを、サスケは呆れて見やった。

「そんな簡単に作れるかよ」

「何で?サスケ、料理作れるじゃん」

「料理と菓子は別物だ」

「いいじゃんいいじゃん。何とかなるって。本も持って来たってばよ?」

うんせ、とテーブルの上に材料を並べ出したナルトに、サスケは不機嫌そのままに口を開いた。

「何でケーキなんだよ」

甘いものが嫌いなサスケは、わざわざケーキを作ろうというナルトが、全く以て理解不能だった。

「だって、クリスマスだってばよ?ケーキ食うんだろ?」

言われて、そんな時期か、とは思ったが。

「だからって…わざわざ作らなくたっていいんじゃねぇか?」

「だって、テレビ見てたら何か面白そうだったってばよ。それに、サスケ料理上手いじゃんか」

「だから、料理と菓子は別物だ!」

「なあ、ボールってあるか?」

「聞けよ(怒)」

怒気を滲ませるサスケに、ナルトは頬を膨らませる。

「なあ、作ろうってばよ。な?」

プイッ、とそっぽを向いたサスケの前に回り込んだナルトは、

「なあ、作ろうってばよぉ、サスケェ」

その顔を覗き込みながら、くり返した。

「でっかいの作って、一緒に食おうってばよ?」

「……。はぁ」

このまま無視したところで、ナルトは諦めはしないだろう。

〔それに、台所を汚されるのはごめんだ(怒)〕

サスケはそう割り切ると、渋々ながらケーキ作りを承諾した。










だがしかし、さあ焼くぞ、という時点になって、サスケはハタ、と気づいた。

「おい、ウチにはオーブンなんかねぇぞ」

「へ?アレは?」

ナルトの指差した先には…。

「あれはレンジだ」

「オーブンじゃ、ねぇってば?」

「温め専用だな」

「オーブンとレンジと、違うってば?」

「違う」

「………マジ?」

「マジで」

「えーッ!!じゃあさ、じゃあさ、作れねぇの?」

「…だな」

がっくりと項垂れたナルトに、サスケもため息をつく。

「これじゃあ焼けねぇな…」

ナルトの持参した本を目で追いながら、サスケは呟いた。

「ガッカリだってばよ」

「だから、最初っから買えよ」

「買ったら飾り付けできねぇってばよ」

「…したかったのかよ」

「うん」

「……。はぁ」

ナルトがケーキを作りたがった理由がわかって、良かったんだか、悪かったんだか…。

「あ!これってば、焼けねぇ?」

「は?」

「フライパンで」

このまま生地を捨てるのも勿体無いし。

同じ捨てるなら、やってみるのも悪くないだろう。

「…やってみるか」

「おう!」










そうして、試しにフライパンで焼いた生地は、所々焦げたりはしたものの、なんとか食べられるケーキもどきにはなった。

焦げた部分を取り除きながら、ナルトはその欠片を口に放り込んだ。

「食えるってばよ?」

「…甘くねぇか?」

「普通だってばよ」

それでも渋い顔を続けるサスケに、ナルトはフォークを突き出した。

「食ってみろってばよ」

「ん……」

「ほら」

促されて、サスケは口を開けた。

そこに、ナルトはフォークに突き刺した欠片を入れてやる。

「ウマイってばよ?」

「んー」

咀嚼して、まあ食べれないこともないか、と飲み込みながら思えば、

「はい」

またもフォークを向けられる。

「ん」

差し向けられたから、サスケは口を開けた。

サスケが口を開けたから、ナルトはフォークを突っ込んだ。

「生クリーム付いてないか、甘くないってばよ」

あんぐり、と自分でも食べながら、ナルトはまた、欠片をフォークに突き刺した。

「これくらいでいいんじゃねぇか?」

あーん、とばかりに放り込まれた欠片を食べながら、サスケが答える。

「そうなかぁ」

「これ以上甘いと食えねぇ」

「んー」










てな訳で。

ナルトのフォークだけが、二人の間を行き来して。

いつの間にか、ケーキもどきも、二人で食べてしまいましたとさ。

おしまい。









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