あべきよ!
□馴れ初め話。
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「…てゆーかさ、」
ある日の夕飯の時、俺は気になっていたことを口に出してみた。
「お母さんと阿部はなんでロマンスが始まっちゃったの?」
2人の箸が止まる。
「あらぁ、フミキ知りたいの?♪」
お母さんがめっちゃいい顔で言う。
「…まぁ、一応。気になるじゃん。」
「私がタカヤ君と出会ったのはね…、とうせい…だったかしら。みんながそこと対戦した時よね。」
お母さんが阿部の方を見て、ね?って言う。
阿部は頷いてから、
「俺さぁ、スタンドに座ってるきよえさんに一目惚れしちゃって。」
なんて言い出した。
「こっちの応援スタンドにすげぇ可愛い人座ってんなーってさ。年上だろうとは思ったけどさ、まさかそれが人の親で、しかもそれが文貴の母親なんて思わなかったな。」
「なんで西浦の女子生徒もたくさん観戦してる中で、マダム達の中に座ってるお母さんに目が行くわけ!?」
「いやぁ…やっぱ惹かれるもんなんじゃね?」
ちょっと照れながら阿部が言う。
…こんな阿部見たくない。
「私もね、キャッチャーの子すごくかっこいい、って思って!フミキのクラスメイトだよね〜って。ずっと目で追っちゃってたvv」
「息子見ろよ!!」
なんなんだ。
この人達の相手をするのは疲れるよ…。
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