love story
□愛があれば尚更
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by ビリー
「……私達、結婚しました?」
え?
研究所のデスクに座り、親友から届いた結婚報告の葉書を、一人ぼんやりと眺めていると、後ろからコッソリと伸びて来た何者かの手にあっさり奪い取られた。
「ビリー・カタギリ技術顧問?!」
「これはこれは、なかなか美人な花嫁さんだね。」
「返して下さい」
「ああ、これは失礼」
まだ何か言いたげなビリーを無視して、私はふんとそっぽを向いた。
「何か用?」
「……いや」
なんなのよ、もう
今は一人になりたい気分なのに
ビリーの手から取り返した葉書の中で、幸せそうに笑い合う二人。
親友を抱き抱えるその人とは、"恋人"の関係だった。
いや、正しくは只の浮気相手言うか、只のセフレと言うか。
もちろん親友は私と彼とのそんな繋がりを知らない。
知るはずない
彼は最初から、私のことなんか見てなかったんだから。
フィアンセの友達。
彼はそのスリリングな関係に酔い、私も情欲と優越感に溺れていた。
馬鹿だった
彼は結局、彼女を選んだ。
最初から、彼の選択肢の中に、私の存在なんかなくて。
きっと罰があたったんだ。
誰かを嘲笑い、誰かを裏切る恋愛なんて
幸せな結末が待っているはずない
それでも私は認めたくないけど、ちゃんと彼を好きだった。
どこかで彼を信じていた。
「……ねえビリーはさ…愛してなくても……女と寝れる?」
「なかなか大胆な質問だね」
「答えてよ」
「……相手がそれを望むならね」
何それ
そんなの……彼と同じじゃない
最初に求めたのは私
寂しさを紛らわせたくて求めたのに、もっと寂しくなって辛かった。
奪ってしまおうと企んだのに、結局奪われたのは私の方だった。
それでも求めずにはいられなくて
一人はいや
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