小説

□蒼き瞳 朱き蝶 〜漆黒の闇に一筋の光を〜5
1ページ/2ページ





「…朱雀くん!?」

深凪は朱雀の姿を見て、驚嘆した。
額から出血し、元から朱い瞳は、左目だけをさらに朱く染めている。
他にも、頬や足に裂傷があり、服は破れ、血が滲んでいる。


「大丈夫!?」

深凪は朱雀の手を握り、真っ直ぐ見つめる。
目は潤み、今にも涙が溢れそうだ。


「別に…。
これくらいすぐに治る。」

「……良かった…。」

少しホッとした表情を浮かべる。
しかしすぐに憂いを帯びたような表情へと変わり、俯く。

「……ゴメンなさい。
私の性で……。」

「……深凪の性じゃない。
怪我をしたのは、俺の力が足りなかっただけだ。」

「でも…「ラブラブだぁ〜♪」

深凪が何かを言おうとするのを遮るように、彗輝が笑顔でわざとらしく大きな声で言った。

「!?!?
え、ぁの、その……!!」

「………。」

その発言に驚くあまり、深凪は耳まで真っ赤に染め、朱雀の手をパッと離し、しどろもどろになる。
一方の朱雀は、離れた自身の手を名残惜しそうに見ている……ような気がする。

そんな二人の姿をクスクスと笑いながら、深凪達と同じ年頃の少年少女が、前にでて来た。
先程楓らとともに、駆け付けて来た二人だ。
二人は着物に似た物を纏っており、少女は薄い紫紺色の髪を後ろで一つお団子に結い上げ、少年は、長めの黒い髪を一つにくくっている。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ