ブリーチ

□オレンジ
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オレンジ



何となく、落ち着かない日曜日。
気分転換にと、厚手のコートを羽織って、そのポケットに財布と、寒さ対策に自分の手を突っ込んで。
自分の趣味の一環である、手芸の用品を買いに出掛ける。



‐‐――

「ありがとうございました〜」

自動ドアが小さく、ウィーンと機械的な音を立てて開くと、片手に袋を下げた石田雨竜が店を出て行く。
ゆっくりと、家に向かって歩を進める。

「はぁ…」

吐いた溜息が、白くなる。
そろそろ日も傾き出して、さっきよりも寒さが半端なく彼の体を突き刺す。
歩くスピードが速くなった。

「どうか……してる」

片手に持っている袋の中身を思い出して、石田はぽつりと呟く。
中にはフェルトと縫糸が入っている。
色は、鮮やかなオレンジ。

彼――黒崎一護の髪色と同じ。

無意識に、手に取って。
無意識に、買っていた。



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