ブリーチ

□これでも愛情100%
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「これ……」
「もちろん手作りだよ。食べてみて…?」

期待に満ちた表情で言われれば、そうせざるをえない。黒崎はハートの形のチョコを手に取ると、それを口に放り込む。
その瞬間、石田の表情がニヤリとした笑いに変わったことに気付くことなく、黒崎の口の中でチョコが微かに溶け出す。

「!?」

黒崎は顔が真っ青になり、慌てて口許を手で押さえる。
明らかにおかしい黒崎の様子を予想していたのか、石田はニヤニヤしたままそれを見ている。

ようやく口の中の異常が収まったのか…口許の手を外し黒崎が。

「てめっ……何でこのチョコこんな苦いんだよ!!」
「君も知ってるだろう?昔、チョコレートは薬だった。甘い菓子とは程遠いものだったことくらい…」
「だからって…!!」
「流石に、カカオ99%のは可哀相だと思ったから…80%代のにしておいたよ」

目の前で腹を抱えて笑う石田に、さっきとは逆に怒りが湧き上がって来る。
さっき、浮かれた自分があまりにも情けない。



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