〇Promise 番外編〇
(もしも、彼女がノアだったら…)
「ねぇ、ティキは運命ってあると思う?」
「は?
なにいきなり…」
「ううん。
何となく聞いて見たくなったの」
なんかあったか?と髪を撫でる優しく大きな手、不意に彼の指の隙間を流れる己の髪へ落とされた口付け。
こういうことをされるのが別に嫌だと云うわけでもない、かといって私と彼はそういう関係ではない。言わずとも感じるのは彼に一人の女性愛されているということは幾ら鈍い私でも分かる。
しかし、そう言われても私に彼と同じ気持ちがあるかと問われて同意をすればそれは嘘になる。
別に彼が嫌いな訳じゃない、彼を含めて家族は全員私にとって大切な人だから凄い大好きだし他の誰よりも特別な存在。
だけど、―――
「ねぇ、ティキ」
「ん―?」
「運命は信じる?」
「信じるよ。
その運命がなきゃ俺はお前に出逢えなかったからね」
「出逢えなかったから、か…」
そんな愛の言葉をいつか誰かに私も告げる日が来るのだろうか?
ノアである私が――
誰かを愛する日が来るの?
「ま、何にせよ今はこのままでいっか―…」
「なにが?」
「こっちのお話。
さてさて、お仕事行ってこなきゃ」
ゆっくりと立ち上がると不意に後ろから捕まれた腕に首を傾げてその本人を見つめる。
「ティキ?」
「悪い。
…お前が居なくなる気がした」
「帰ってくるよ。
私の居場所は家族が居る此処だもの」
そう笑って腕を掴む彼の手を離して手を振って部屋を後にした。
きっと、この時、己の腕を掴む手を解いて、あの場所へ行かなければ…――
きっと、貴方に巡り会うことも愛を知ることも…決してなかった。
「貴方は一体何者?」
「エクソシストだ。
お前は…ノアなのか?」
「…残念ね、もっとお話したかったのに。
私は貴方の敵、貴方達が憎むべき存在」
「…皮肉な巡り合わせだな。」
「そうだね、ユウ…」
そう、この任務に行ったこと。
きっと、これが全ての始まりだった。
運命の歯車が廻り始めた日
(アナタは運命を信じますか?)
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