小説
□冬の温もり
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外は予想以上に寒く、風が吹き荒れていて外に出ている人なんて他の誰でもなく俺だけだった。
寒いな‥。
どの景色を見てもみな同じ景色で少し哀しくなってきた。
…健。
どうしてなんだ。‥
お互い好きになって付き合っているのに‥
どうして片思いよりも辛いんだろう。
吹き荒れる風の音に紛れて後ろから誰かが走って来る音が聞こえた。
気になって後ろを振り向くとそこには健がいた。
「健!」
「‥薬師寺。」
少し息切れしてるあいつの鼻は赤くて、俺を必死になって捜してくれたのがわかった。
「薬師寺……一緒に出掛けないか。」
「あ…あぁ。」
戸惑う俺をよどころにあいつは俺の手を握った。
やべぇ//…俺。 あいつと手ぇ繋いでるだけでこんなに嬉しい‥。
さっきまで自分は怒っていたのに。
そんな事を思っているとふいに奴が止まった。
「薬師寺…。
何か飲むか?」
「あ…うん//」
そう言うと健は自動販売機でココアを買ってきた。
「…なぁ。今日って寒いんだよな?」
「さぁな…俺は温かいが」
そう言った健は俺の手を握りながら言った。