小説

□寝息
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「…‥スウ…」
少しの寝息とあなた。 バスにゆられる愛しいあなた。
言葉にするとどこか切なくて、はかなくてとけてしまいそうな感じ。
愛しいなんてありきたりな言葉今のあなたにはぴったり‥。
疲れきった体。
汚れたユニフォーム。
麗しき寝顔。


唯一共有できるあなたとの時間。

バスよ止まらないで‥。
時間は進む。
どんなにあなたの寝顔が変わらずとも。

自然の流れは止まらない。
止まらないからこそこの一時に愛しさを感じるのだろう。


それでもこの時が止まってほしいと感じるのはそれほどまでに今が愛しいから。


窓からの風が私を掠めたその時に、いつもなら憎まれ口を紡ぐあなたの唇にキスをした。


時が止まらないと言うならば私の止まらない思いも仕方のないことでしょう。


最後に勝つのはどちらでしょう?


時?


想い?



それはきっと…



「…‥スウ…」
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