小説
□眼に映る貴方は幸福へ導く
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吹き抜ける風と…
雲一つない空に
貴方の横顔はとても似合っていた。
このままずっと見つめていられたらどれだけ幸せだろう。
いっそ全てを忘れてただ貴方だけを見つめていてもいいかもしれない。
そんな私に気付いたのか狂おしいぐらいの貴方の鋭い眼が私をとらえる。
「何か用か?」
黒猫みたいな貴方。人とあまり関わらず、いつも一人でいる事が多い。
そんな貴方がとても不思議で私は聞いてみた。
「眉村君は何でいつも一人でいるの?」
「…一人でいる方が落ち着くからだ。」
そう言った貴方の目に迷いはなかった。
私と彼は違う。
光と影みたいに…
太陽と月みたいに一生を生きているのに出逢う事はない関係みたいなもの…。
それでも私は貴方に惹かれていて‥叶わぬ恋をしているんだ。
眼から零れ落ちるものは涙…。
それは貴方に届く事なく私の胸に溢れた感情。
「泣け…、泣いたらすっきりするぞ」
そんな私を横目に貴方の整った唇は優しく動いた。
私の涙は沢山溢れ出す。
近くにいる貴方がこの涙の意味をもしもわかっているのなら返事を下さい。