小説
□すれ違う心
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「眉村…ど、どうするか?早く…助けに来てくれぇ!」
「…。」
眉村は何も言わない。
「はぁ…」
ため息をつく吾朗。
何が楽しくてこの二人はこんな所にいるのだろう。いや…楽しい事などあるはずがない。
ここは海堂高校。
ついでに言えばエレベーターの中。
もっとついでに言えば故障したエレベーターの中である。
そんな時偶然乗り合わせた吾朗と眉村。
しかし、後の事を考えれば偶然というより必然というべきものなのだろう。
「だぁ-、どうすればいいんだぁ!!」
「…」
「なぁ…眉村ぁ。」
「…」
(くそぅ‥こんな所に閉じ込められて恐いじゃねえか。…しょうがねえ、眉村と話すのは苦手だけど話しかけてみるか)
吾朗のこの安易な考えが後の吾朗自身の運命を左右される出来事を招こうとは無論誰も知らない。
「俺さぁ…眉村みたいな球を目指して此処まで来たんだ。凄いよな眉村は…」
「…そういう事を言っている暇があったら練習したらどうだ?」(まぁ…この状況で言う言葉じゃないが…)