小説
□孤独
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孤独と言う言葉はこの少女のためにできたものではないだろうか…。
そう思わせるほどに少女は独りに見えた。
傘も持たずただ雨に打たれる少女。
俺は傘を差し出す。
「…入れ。」
何も言わなかった。
その割に眼だけは警戒していた。
傘に入った少女を一人暮しの自分のアパートへ連れていく。
「あがれ‥。」
「…。」
相変わらず警戒しながらも俺のアパートにあがった。
「こっち…来い。」
そう言うと近寄ってくる。
「‥入れ。」
そう言って布団の中に勧める。
「…」
「一緒に寝よう。」
恐る恐る少女が布団の中に入ってくる。
冷たかった。
その冷え切った躯を抱きしめると段々と温かくなっていく。
いつの間にか孤独感は消えていた。
「ありがとう‥。」
一言少女はそう呟いた。
そして急に少女は泣きだした。
「もう…何も言うな。」
言葉なんて必要なかった。
ただ温もりを感じさせてやりたかった。