原作寄り短編小説+夢*2
□プライド
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コイツは1+1=2というような単純計算を思わせる馬鹿だ。
「でも…‥オマエは絶対打たねぇと思ったぜ。」
「…根拠は?」
「勘だ。」
「はぁ!?それじゃ理由になってねえだろ!!」
「本当に打つ気があったなら…お前はボール球にも手を出したはずだ。
右で投げたボール球もお前ならホームランに出来ただろ?」
「そ‥それは。」
何も言えなかった。
すべてこの馬鹿の言う通りだったから。
「薬師寺。」
「‥なんだ?」
「プライドにこだわっちゃ悪いか?」
「別に……悪かねぇ。」
多分俺はアイツの球を初めて見た時から毒されていたんだろう。
毒がまわった今は、もう手遅れだ。
そうでもなければ俺がプライドを肯定するはずがねぇ。
せめてもの抵抗のつもりで、微笑むアイツの横顔を思いきり睨みつけてやった。
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本当はアイツに毒なんかなかった。
強いて言うなら俺が一番必要としていたものを持っていたんだ。
終
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