SHORT
□なんなりと
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前言撤回。
と、綱吉は心の中で叫んだ。
「わぁ…」
そこには、綱吉が長年夢見た学校の風景が広がっていた。
グランドでは、体育の授業中なのだろう、生徒たちが走っている。
大きなレンガ造りの校舎の窓には、授業を受けている生徒たちが見えた。
すごい。
すれ違った男子生徒たちが、黒服の男たちに『ちぃーっす』、と挨拶をしている。
この、だらしない感じ!!
生の高校生だ!!
男子高校生たちは、キラキラした目で見てくる綱吉に若干引きながらも、ペコリと会釈をしてくれる。
いい子だ!!
興奮気味に歩いていくと、玄関口、のような所に着いた。
どうぞ、と言って、来客用、と書かれたスリッパを用意してもらった。
キョロキョロしながら、それに足を通す。
「……っ!」
ついに。
入ってしまった、学校……!!
男たちに続いて、ペタペタと廊下を歩く。
途中、教室の前を通りすぎると、教壇に立つ先生の声が聞こえた。
背伸びして中を覗きこむ綱吉を、男たちが可哀想なものでも見るような目で見ていたが、夢中になっている綱吉には気にならなかった。
しかし、そんな調子で浮かれていた綱吉は気づかなかった。
途中から、明らかに男たちの顔色が悪くなっていることにも。
いつのまにか隣接している建物に移動していたことにも。
そして、壁に、『S科→』という標識が出ていることにも。
その違和感に綱吉が気づいたのは、そこからしばらく歩いてからだった。
……いい加減、広すぎるだろ。
と、冷静になれたのは、いつのまにか、あちらこちらから聞こえていた、先生や生徒たちの声が全く聞こえなくなったためだ。
そこで初めて周りを見回すと、なんだか、こう、全体的に、暗い廊下を歩いていることに気がついた。
照明が異常に少ないし、なにより、さっきまで沢山あったはずの窓がない。
「え……」
そうして目の前に現れたのは、無機質な鉄のドアだった。
廊下の突き当たりに、ポツンと1つある。
とってすら付いていないそれを、どうやって開けるのかと思っていると、黒服の一人が、銀色のカードを取り出した。
それを、ドアの隣にある読み取り機に通す。
ピッ、と言う音がして、シューッ、とドアが横にスライドした。
いくら学校に疎い綱吉とはいえ、こんなものが学校に無いことくらい分かる。
なんなんだ、ここ。
ようやく、自分が明らかに異質な場にいることに気づいた。
自分の師匠であるリボーンがもしここに居たとしたら、『なにボサッとしてやがったんだダメツナ』、と蹴りの一つもくらうところだろう。
呆然としながら突っ立っていると、男たちが綱吉を振り返った。
「私たちが案内できるのはここまでです。申し訳ありませんが、ここからはお一人でお進み下さい」
綱吉は目を見開く。
「えぇっ、そんな!…で、でも俺、道とか全然分かりませんけど!」
「ご安心下さい。しばらくは一本道です。それに、先程スクアーロ様から、こちらへ向かっていると連絡がありました。」
「スク、アーロが……?」