SHORT
□なんなりと
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結局、綱吉は、『ザンザスの前に姿を現さない』、という条件付きで、スクアーロに付いていくことになった。
この条件を出したのはスクアーロだが、勿論綱吉は、二つ返事で了承した。
スクアーロがここまで念をいれるのだ。
そんなザンザスに、絶対会いたくない。
二人で、急ぎ足でザンザスのもとへ向かいながら、綱吉はスクアーロに、ここ、ボンゴレ学園のことを教えてもらった。
「ここは、表向きは普通科だけを持つ進学校だが、実際は違ぇ」
前を歩くスクアーロが、淡々と話す。
「ど、どういうこと?」
長身のスクアーロと同じ速度で進むためには、綱吉は小走りをしなければならない。
舌を噛みそうになりながら、綱吉はなんとか疑問を口にした。
「ボンゴレ学園は、普通科と、もうひとつ、S科、と呼ばれる特殊クラスの2つからなるんだぁ。」
「えす……科?」
聞き慣れない単語に、綱吉は首を傾げた。
「あ゙ぁ…、一般に公表されねぇこの学科は、学園の中では、エリートが入れるクラスだとか何とか言われてるが、その真相は、裏社会で活躍する人材を育成している、超特殊学科だ」
「は……?」
綱吉が思わず足を止めると、スクアーロが、はぁ、とため息をついて振り返った。
「言ってなくてすまねぇなぁ……、俺とザンザスは、その、S科に所属してる。テメェが来た表門は、普通科に通う奴ら用の入り口なんだぁ」
そう言って、苦笑する。
「ちょ、ちょっと待って…!!、二人が……その、S科……?、ていうことは……スクアーロは……ザンザスも…」
「あぁ、そぉだぁ…。隠すつもりはなかったんだがなぁ……。まぁ、人に言ったことがねぇからなぁ…、タイミングが分からなかったんだぁ」
そう言いながら、綱吉の頭に、ポフ、と手を乗せる。
そのあとに続く言葉に、なんだか嫌な予感しかしなくて、綱吉は固まった。
耳を塞ぎたかったけれど、間に合わなかった。
「ザンザスは、イタリアを拠点とするマフィア、ボンゴレファミリーの次期ボス候補だ」