パラレル
□隣のザンザスさんU
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真夜中の家の中は、当たり前だけど暗くて静かだった。
自分の意思で部屋を出てきたくせに、なんだか恐くなってきて、綱吉は焦って廊下の電気をつけた。
パッと明かりがつくと、なんだかホッとする。
そのまま、踊り場、階段、一階の廊下、そして最後に台所の電気をつけると、家の中は大分明るくなった。
母親に気付かれたら、なんでこんなに電気つけてるのと怒られそうだ。
さっさと用事を済ませようと思い、食器棚からガラスのコップを取り出す。
氷をカラカラと二つ入れ、水道水を注ぐ。
一口飲んでから、ぷはっ、と息を吐き出し、テーブルのイスにどかっと座り込んだ。
「眠れねー……、」
こうして活動してしまったら、余計に目が冴えてきた。
だからといって、眠っておかないと明日が辛くなるのは目に見えている。
明日……もう今日か、には学校もあるのだ。
……もういっそのこと、ここで寝てしまおうか。
もどろっかなぁ、いや、でも…、と考えは堂々巡りだ。
椅子にもたれたままぼーっとしていると、ふいに背後でカタンと音がした。
ピシリと、身体が、まるで金縛りにでもあったように固まる。
途端に嫌な汗が背中に吹き出し、鼓動がドッドッと鳴り出した。
……そういえば今ってちょうど午前の2時くらいだし、確か丑三つ時とかっていう時間じゃないだろうか。
余計なことを考えたら余計に恐くなってきた。
せっかく潤した喉も、あっという間にカラカラになってしまった。
やっぱりあのまま大人しく部屋にいるんだったと思ったけれど、もう遅い。
もしかしたら気のせいかもと淡い期待もしてみたけれど、さらにまた、もっと近い所でカタンと再び音がした。
あぁ……泣きそう……
ザンザス……
いつの間にか、さっきまであんなに恐れていたザンザスに綱吉は無意識のうちに助けを求めていた。
祈るような気持ちでじっとしていると、ふいに肩に何かがポンッと乗っけられた。