パラレル
□母親似ですから
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母親似ですから
「…………」
「…………」
「…………おい」
と、声を掛けただけで逃げ出そうとする子供を抱え直して、ザンザスは溜め息をついた。
「お前、いくつだ」
「……ひっ! ぁ、う、オ、オレ、ご、5さ、い」
震えながらもきちんと質問に答えた子供に、ザンザスはちょっと好感がわいた。
従順な奴は、嫌いじゃない。
「フン、で、お前どこの餓鬼だ」
「え? お、オレ……オレ……あ! に、にほんから来た! 」
「日本……? 」
ウチの息子はそりゃあ可愛くてなー! と自慢していた門外顧問の顔が浮かんだが、子供を見て、すぐに違うなという結論をくだす。
あんなゴリラみたいな奴から、こんなヒョロヒョロの餓鬼が出来るわけがない。
では誰だと考え出したザンザスの顔を、綱吉が不安気にのぞきこむ。
「ザンザス……だいじょうぶ……? 」
さっきまで怯えていたくせに、いきなり自分の心配をし始める綱吉に、ザンザスは、ちょっと胸が暖まるのを感じた。
「あぁ……、というかお前、俺の名前知ってるのか」
「"きゅうだいめ"にきいた! 」
得意気に話す綱吉の頭をくしゃくしゃと撫でてやると、大きな薄茶の目が、気持ち良さそうに細められる。
それを見て、少しの間なら面倒をみてやってもいいかなと、思い始めた。
END
続き!
まだやります。