パラレル
□授業後
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授業後
「ツナヨシ……! 」
教室のドアを勢い良く開け放ったザンザスは、キョロキョロと辺りをせわしなく見渡した。
廊下を歩いていた数人の生徒が驚いて振り向くが、ザンザスの眼中にはない。
「ぁ、ザンザス! 」
声が聞こえたと思うと、角からヒョッコリ顔を出した薄茶のフワフワが、トテトテと駆けてくる。
今にも転びそうで、見ているコチラがヒヤヒヤするような走り方だった。
「ザンザスッ! 」
ポスンと小さな身体を受け止めると、ザンザスは安堵の溜め息をついた。
「無事だったか」
「……? うん! ザンザスは、ちゃんとじゅぎょう受けてきた? 」
「あぁ」
嘘つけ、と背後で事の成り行きを見守っていたスクアーロがつっこんだが、ザンザスは聞く耳を持たない。
「さぁ帰るぞ」
クシャリと頭を撫でられると、綱吉は嬉しそうに笑ってザンザスを見上げた。
「うん……! 」
それを見たザンザスが優しく微笑んだように見えたけれど、自身の心の安定の為に、スクアーロは見なかったことにした。
END