パラレル
□隣のザンザスさん
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ザンザスと道を歩くと、なんか色んな事になる。
モーセの十戒よろしく人は道を開けるし、動物達は逃げ惑う。
大部分の人間は恐怖の表情でザンザスを見、何人かの人間は羨望の眼差しをザンザスに向ける。
おば様達はこそこそと噂話に余念がないし、綱吉はそんな状況に縮こまるしかない。
学生鞄で、精一杯顔を隠す。
これだから、ザンザスと外を歩きたくないんだ。
綱吉としては、平凡で、可もなく不可もなく、安定した生活を送れればそれでいい。
ザンザスといると、その願いは見るも無惨に崩れ去ってしまう。
元々綱吉は学校なんて好きじゃない。
高校に通っているのも、せめて高校くらい卒業して!、という母さんの言葉と、ザンザスのお父さんが経営してる学校なら、成績に関わらず入れてあげるよ、という、多少ずるっこい理由があったためである。
それでも今、綱吉は一刻も早く学校に着きたくてたまらなかった。
それもこれも、この、隣でふんぞり返りながら歩いている、迷惑な隣人がいるからである。