パラレル
□隣のザンザスさん
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キンコンカンと授業終了を知らせる鐘の音を、綱吉は窓の外を見ながら聞いていた。
今丁度、たい焼き似の雲を見つけたところだった。
別に授業を真面目に受けていなくても疲れるのは何故だろう。
座っているだけというのも意外に体力を使うものなのだなぁと背伸びをしながら思う。
まぁとりあえず、やっと帰れるのだ。
それは文句なしに嬉しい。
綱吉はいそいそと帰り支度を始めた。
しかし、さぁ帰るぞと振り向いた瞬間、何故か綱吉の目の前には自在箒が差し出されていた。
「…………え?」
ニヤニヤと笑う男子生徒が数名、いつの間にか綱吉を囲む様にして立っていた。
「ダメツナ〜、実は俺ら今日忙しくてさ〜。代わりに掃除やってくんねぇ?」
「はぁっ!!?」
冗談じゃない。
なんで自分が。
そう思うのに、言いたいのに、気付いた時には彼らはさっさと消えてしまっていて。
いつの間にか綱吉の手には自在箒と塵取りが握られていた。