パラレル
□兄弟の朝
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※綱吉(兄)
※ザンザス(弟)
子供は、両親のDNAを半分づつもらって一個体となっているらしい。
となると、単純に考えて、どちらの特徴も、半分づつ受け継がれていることになる。
が、これは絶対に嘘だ、と綱吉は常々思っていた。
実際は、3:7くらいの割合で、どちらかのDNAが多くきているに違いない。
そして俺は、確実にその配合を間違えられたんだろうと思う。
そりゃあね、一人目だし、不慣れなところもあったんだろう。
けれど、だからといって、二人目でいきなりプロ並みの調合をすることないと思うわけだよ、俺は。
「………………」
ピチピチと、雀の鳴き声が窓ガラス越しに聞こえる。
カーテンを思い切り開け放ってやったというのに、ベッドで寝ているこの部屋の主には、大したダメージを与えることが出来なかったらしい。
多少顔をしかめただけで、また寝る体勢にはいってしまった。
「あ、こら……!
はぁ……ったく……」
男として、まったく羨ましい程の見た目を授かった我が弟を見下ろして、綱吉は朝っぱらから苦々しい気分になった。
「はぁ……。
おいこらザンザス、早く起きろよ、学校に遅刻するぞ! 」
軽く身体を揺さぶってみるが、起きる気配はない。
「こら! ザンザス! 」
ペチペチ頬を叩くと、少しうめいてから、ようやくうっすらと目を開けた。
しかし、ほっとしたのも束の間、
「うるせぇ、死ね、カス」
短く吐き捨てると、また、頭からすっぽりと布団を被ってしまう。
ポカンと、一度はその暴言を聞き流した綱吉だったが、やがて、沸々と怒りが込み上げてくる。
―――わざわざ起こしに来てやった兄に、死ねとは何事だ。
ポキッと手の間接を鳴らし、ゆっくりベッドに近寄る。
そうして、布団の端をしっかり掴むと、後はテーブルクロス引きの要領で、一気にザンザスから布団をひっぺがした。
「…………っ!?」
バサリと布団が舞い、間から、巨体が床に転がり落ちる。
何が起こったのかわからないまま、ザンザスはしばらく目をしばたたせていたが、ようやく事態が呑み込めると、途端に、綱吉に噛み付かんばかりに怒り始めた。
「ってめぇ、綱吉! その起こし方はやめろって何度言やぁわかるんだ! 」
「すぐに起きないザンザスが悪いんだろ! それに、兄ちゃんを呼び捨てにすんな!」
立ち上がると、どうしても綱吉はザンザスを見上げる形になる。
それが果てしなく悔しい。
「フン、てめぇみたいな軟弱な奴が兄貴だなんて、思えるわけねぇだろ! 」
「なんだと! お前喧嘩で俺に勝ったことないくせに! 」
これは本当の話だ。
誰に言っても信じてもらえた試しが無いけれど、本人ならば当然知っているし、ザンザスがその事を気にしているのも、綱吉はよく知っていた。
「ハッ、んなのまぐれに決まってんだろ!
このドカスが! 」
「っな……! お前はまたそんな汚い言葉をおぼえて! 」
ギャーギャー、もはや毎朝の恒例行事となっている二人の兄弟喧嘩は、大抵、綱吉が遅刻ギリギリの時間に気付くまで続く。
が、今日はちょっと違った。
『ツッくーん! ザンザスー! お友達が待ってるわよー! 』
今まさに取っ組み合いに突入しようという時を見計らったかの様に聞こえてきた階下の母の声に、二人はお互いの胸ぐらを掴んだまま、同時にピタリと固まった。
二人は気付かなかったが、誰だろうと首を傾けるタイミングも、バッチリ一緒だった。
ちなみに、その疑問は、ズダダダダッと、何かが階段を滑り落ちた様な音と、ドゴッと何かがぶつかり合った音の後に聞こえてきた「ゔぉ゙おいっ」で、スッキリ解消した。
「「……スクアーロとディーノ(さん)か」」
END
兄弟喧嘩ネタが好きです。
ザンザスが弟なのは無理があったかも……
でもワタクシ年下攻めが好きなのです。
なので、無理無茶承知でこれでいきます。
頑張れ、わたし(セルフ励まし)
ちなみにDNAの知識は適当です(え)