SHORT U
□きず。
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日に日に増えるあなたの傷。
誰にやられたか、なんて、聞かなくてもわかった。
「お願いです、十代目、お願いですから」
そこまで言うと、十代目は右の手のひらを向けて俺を制した。
淋しそうな笑顔。
胸が痛い。
「っ、何故ですか……! なんで……っ! 」
思わずすがり付く。
そっと頭を撫でてくれる手には、痛々しく包帯が巻かれていた。
「ごくでらくん」と声が掛けられる。
「……ごめんね」
ごめんね、と十代目が繰り返す。
嗚咽が抑えきれなくなって、俺は無言で十代目の肩を抱き寄せた。
触れた部分から、十代目の緊張が伝わってくる。
離れようと動く彼を、更にきつく抱き込んだ。
「好きなんです……、あなたが好きなんです!
これ以上、あなたが傷付くのを見ていられない……! 」
俺の告白を聞いても、十代目は何も言わなかった。 だから、俺も黙っていた。
静かな部屋に、チクタクと時計の音だけが響く。
出来るなら、このまま時が止まってしまえば良いのにと思った。
「ごくでらくん」
「…………はい」
「ごめんね」
「はい…………」
腕で胸を押されて、今度はそれに逆らうことなく身体を離した。
近くで見た彼の顔は、痣だらけで痛々しかった。
「……おれ、アイツが好きなんだ」
「はい……」
「どんなことされても、好きなんだ」
「はい……」
「どうしようもないくらい、好きなんだよ」
そう言って笑う彼は、自分が今涙を流していることにすら、気付いていないようだった。
END
ザンザスに暴力をふられるツナを見ていられないごっきゅん。
実はこれ、続きます。