SHORT Ⅱ
□側にいたい
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｢っぁ、ふ、ザン、ザスッ！ ｣
｢っは、テメ、感じ、過ぎ、だろ……｣
からかうように言われて、綱吉はボッと赤くなる。
確かに、自分でもそんな気はしていた。
ザンザスが触れた部分が熱くてたまらない。
久しぶりだからと丁寧に解されている間も、早く欲しくてたまらなかった。
最終的に、早くしてくれとねだった綱吉を見た時のザンザスの顔は、一生忘れられないと思う。
｢……ぅるさ、っ！ ひっ！ あ、ちょ、そこ、待っ！ ｣
慌ててザンザスの首にしがみつきながら制止する綱吉を無視して、ザンザスは容赦なく、良いところばかりを責めたてる。
｢ぁっ、……っ！ ふ、っ！ ｣
顔を上げてキスをねだると、すぐに深いのをくれた。
苦しくて苦しくて、なのに嬉しくて。
｢っは、ザン、ザスッ！ 頼むからっ！ 言っ、てっ！ ｣
多くを言わなくても、ザンザスはいつも、綱吉の言いたいことを誰よりも理解してくれる。
それは、今も変わらなかった。
やや迷っているようだったけれど、結局、綱吉の望む言葉を言ってくれた。
｢綱吉……愛してる……｣
ボロリと、大粒の涙がこぼれ落ちた。
｢っ、もっ、とっ！ ｣
｢愛してる……綱吉……愛してる｣
｢っ、！｣
ボロボロこぼれる涙はいつまでも止まらなくて、さすがにおかしいと思ったザンザスが、綱吉の前髪を退けて顔を覗きこんできた。
｢綱吉……？ ｣
｢うっ……っく……｣
｢おい、どうし―――｣
｢、っ、た！｣
｢……？ ｣
｢あい、会いたかっ、た！ ｣
｢…………｣
ザンザスの手が、躊躇いがちに綱吉の頭を撫でる。 そのせいで余計に涙が止まらなくなってしまった。
根っこの部分がいつも優しいザンザスが、愛しくてたまらなかった。
｢っ、お願、ザンザス、側にいて……俺の、側にいて……｣
｢…………｣
｢ザンザス……！ 俺を……、俺を、信じてよ……｣
ザンザスの目を見つめる。
赤い瞳が、揺れたような気がした。
初めて会った時は、この目が恐くてたまらなかった。
綱吉には想像も出来ないほどの恨みをため込んで、ザンザスは、誰一人として信頼出来なくなっていた。
それを誰よりも哀しんでいるのが、他でもないザンザス自身だということに気付いたのは、しばらく経ってからだったと思う。
助けになりたい、と思った。
強くなりたい、と思った。
彼が頼ってくれるくらいに、強く。
けれど実際は、そういう風にはなれなかった。
結局綱吉はザンザスに守られっぱなしで、ザンザスが自分から離れていったのだって、つまりは自分のせいだった。
綱吉に、ザンザスを責める権利なんて無かった。
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