SHORT U
□側にいたい
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綱吉の涙は、しばらくの間止まらなかった。
ザンザスは綱吉が落ち着くまで辛抱強く待ってくれた。
ようやく、正常に喋れるくらいまでになってから、ザンザスはゆっくり綱吉に視線を合わせた。
綱吉の目は、泣きすぎたせいで真っ赤になっていた。
瞳と同じ薄茶色の睫毛が、涙で濡れている。
「……俺は、お前を置いていったことを後悔してねぇ」
ザンザスの口調は落ち着いていた。
迷いの無い者の喋り方だ、と思った。
それと対照的に、綱吉の目にあるのは不安ばかりだった。
「……また今お前の側にいたら、俺は今度こそ、お前を壊すかもしれねぇ」
「そんなこ―――! 」
「聞け。……だから俺は、もう二度とお前に会う気は無かった」
止まった筈の涙がまた溢れ出した。
駄々っ子の様に、綱吉はザンザスにしがみついて離れなかった。
「いや、だっ! ザンザス、お願っ……」
「だから最後まで聞け。……今日、お前に会うまではそう思ってた」
「…………は、」
ポカンと顔をあげた綱吉を、実に愉快そうな顔のザンザスが見下ろす。
「無理だ。離せねぇ」
背骨が軋むくらい強く、抱き締められる。
今までとは違った類いの涙が、綱吉の目に溢れ出した。
「お前は俺を追ってきた。それは、お前が俺を選んだと思っていいんだな……? 」
鼻と喉が詰まって話せない綱吉は、ブンブンと頭を縦に振った。
ザンザスの顔が僅かに緩む。
「お、俺の、っ、ぜんぶ、あげるっ、ザンザス、に、あげるっ」
ずっと言いたかったことだった。
もっと早く言えば良かったのだ。
一端置いていかれなければ気付けない自分は、何年経ってもダメツナなのかもしれなかった。
でも、こんな自分でも、ザンザスなら受け入れてくれるという確かな信頼が、あった。
俺達はお互いに、どこかしらが足りない欠陥品で、だからこそ、寄り添い合わなければならなかった。
補い合えるのは、お互いしかいなかった。
少しの間見つめ合って、どちらからともなく唇を合わせた。
「塩辛ぇ」、とザンザスが笑う。
幸せだった。
お前になら、壊されても良いよと心の中で呟いて、綱吉はそっと目を閉じた。
END
か、かんけ……つ……?
一応完結です。きっと。たぶん。
出来上がってみると何を言いたいのかワケワカメな文章に……
ここまで読んで下さった方がいたとしたら、なんかもう……あなたは神様ですか……?
聖母のような御心をお持ちだとしか思えません。
ありがとうございました(T∀T)+゚