SHORT U

□ペット
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※ザンザスがちょっと狂ってます






 御飯は時間を決めてしっかりと。
 適度な運動は、健康を保つ為に必要です。
 甘やかすだけでなく、きちんとしつけることも、飼い主の役目の一つです。
 そして、なにより大切なのは、愛情を持って接すること。
愛情を持って接すれば、きっとペットもそれに答えてくれる筈。


 本から顔を上げたザンザスは、「おかしいな」と、至極真面目そうな顔で呟いた。
 そんなザンザスを見て、綱吉は内心「おかしいのはお前だよ」と突っ込んだ。
 六畳半の部屋には、木製の犬小屋が一つに、ペット用のトイレが一つ。
 隅っこには、綿の詰まったサッカーボールが転がっている。
 カーテンが曳かれているため、まだ昼間だというのに、この部屋の中は薄暗い。

「こんなに大切に育ててやってるのに、何が不満なんだ」
「……これ、取れよ」

 そう言って綱吉が掴んだ鎖は、綱吉の首に巻かれた革製の首輪から、壁に打ち付けられた杭までを繋いでいた。

「運動が足りねぇのか? 犬は運動しねぇとストレスが溜まるんだろ? 」

 ブツブツ呟くザンザスに、綱吉の言葉は届かない。

 もしかしたら彼には本当に、綱吉の声が犬の鳴き声に聞こえているのかもしれなかった。

深く溜め息をつく。



「ザンザス、こっち見てよ」


 鎖がチャラッと音を立てた。



END

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