SHORT

□捕まえた
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ザンザスが、にたりと笑った。
暗い部屋に、彼の赤い瞳がギラギラと見える。

ザンザスの腕の中には、全裸でぐったりと彼にもたれかかる、現在のドン・ボンゴレがいた。

スクアーロはごくりと唾を飲み込んだ。
唇がやけに乾いていた。

「どういう…ことだぁ…」


声が掠れる。

ザンザスはますます笑みを深くし、ドン・ボンゴレは虚ろな目をして動かない。

「なんで……綱吉が……」
「コイツが俺のものだからだ」

ザンザスの声が響いた。


「名誉に思え。てめぇにもおこぼれをやる」

綱吉の身体を引き寄せ、ザンザスはその額に唇をつけた。

綱吉の指がピクリと動く。

「ゔお゙ぉい……ザンザス…」

名を呼ぶと、鋭い視線がスクアーロを射抜いた。

「……っ」

無言で、"来い"と命令される。
スクアーロに断ることはできない。
彼は、スクアーロにとって、唯一にして、無二の王であるのだ。


近付くと、綱吉の白い肢体がより鮮明になった。
思わず喉をならす。
ザンザスがふ、と笑った気がした。

手を伸ばす。
触れた顔は、まだどことなく幼さが残る。
首筋には、ザンザスがつけたのだろう、痛々しい噛み痕があった。

慈しむように、そこにそっと舌を這わせる。

「っぁ……」

綱吉の喉から出たのは、予想外に艶を含んだ声だった。
戸惑い、困惑、羞恥をはらんだその声は、やけにスクアーロの加虐心を煽った。

ザンザスを見上げる。
そこに表情は無かった。

綱吉に視線を戻す。
虚ろな瞳の中に小さく灯った光が、怯えを孕んで自分を見つめていた。
あぁ、と呟く。
それはため息だったかもしれないし、感嘆だったのかもしれない。
自分でもよくわからなかった。

それでも、スクアーロはもう、その誘惑に勝つ術を持たなかった。

滑らかな肌に、手を這わせる。
敏感な箇所を掠める度ヒクヒクと痙攣するその身体が、浅ましくて愛しかった。


ザンザスもきっと、この誘惑に負けたのだろう。

綱吉の頬に口付ける。
そこはいつのまにか、涙でしとどに濡れていた。

少しの罪悪感と、それを遥かに上回る、快感があった。

「スクアーロ……お願いだから……やめて…」

綱吉の震えた声。
引き返せない。
引き返したくない。

これを手に入れるためなら、引き返せない道を行くのも悪くはないように思えた。

綱吉の震える唇にそっと口付け、その瞬間、スクアーロは共犯者となった。



END

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