Fate小説
□PUNISHMENT
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何だ…?体が痛い。肌寒い。
痛みと寒さで沈んでいた意識がゆっくり浮上してくる。
目を開けようとしだが、体が疲労を訴えているのかなかなか開ける事が出来ない。
仕方無く聴覚を頼りにする事にする。周囲に意識を向けると音が聞こえてきた。風の音と人の動く音が耳に入ってくる。
どうやら側にいる人物はずっと私を見ているらしい。視線を感じる…殺気は無い様だが、あまり好意的には捉えにくいモノだ。
視線の主を見る為に、今度こそ目を開ける事にする。
「…何だ、お主か」
そこには楽しそうに笑っている蒼い槍兵がいた。場所を確認すれば、先程まで目の前の男と紅い弓兵と闘った場所…つまり屋上のままだった。
…とりあえず、倒れたままは無様なので体を起こそうとする――が、体に痛みが走りそのまま倒れた込んだ。
「っ!………忘れてたな…」
どうやら頭はまだはっきりしていなかった様だ。
起き上がる為に使おうとした右手を見れば痛々しい程に赤く腫れている。確か…この傷は目の前の男に付けられたものだったか。
「おい、大丈夫か?」
ランサーは気遣いの言葉を投げかけてくるが、やはり顔はまだ楽しそうなままだった。
「あぁ、――と答えたいのだがな、少々羽目を外し過ぎたらしい。体に力が入らん」
油断した…。弓兵を倒した瞬間に死角から不意を突かれそのまま意識を失った様だ。