「白蘭せんせぇ。ここ、わかんないんですけどぉ」


イライラ。


「あっずるーい!あたしもここ教えてほしー!」


イライラ。


「わかったわかった。ちゃんと教えてあげるからちょっと待ってよ。僕はひとりしかいないんだから。ね?」


あー!もうむり!なんで白蘭はあんなにみんなに愛想振り撒いてるわけ!?私というものがありながら!しかも難しい内容の授業のせいもあってかさらにイライラする。くっそう、なんで担当授業が理科なの。白衣かっこよすぎだよバカー!みんなかっこいいからって惚れちゃだめだからね!

ていうかこの問題ほんとにわかんない…。うーん、と唸っていると人の気配がした。きっと白蘭だ。


「君、ここわかんないの?」

「え?あ、はあ…」


びっくりした。いきなり君、とか言うから誰のことかと思った。いつも名前で呼ぶから。


「ここはね、」


さすが白蘭。すごいわかりやすい。テスト前にはいつも教えてもらってるが教えかたのうまさはそこらへんの教師より何倍もいい。私が持っていたシャーペンを奪い取ると、内容を理解しやすいようにノートにメモをしてくれた。そして書き終わると白蘭は理科とまったく関係のない文章を書き始めた。


『お昼休み、理科準備室』


「わかった?」

「はい、ありがとうございます」


だめだ、白蘭には一生敵わない。こんなことされたら怒る気なくなっちゃうよ。











[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ