□どうか静かに眠らせて
1ページ/1ページ




今日は可愛いかわいい俺のお葬式。参列する奴はいない。ほんと残念です。本当は宇宙葬で綺麗な星になりたかったんだ。でもきっと寒いだろうな、きっと泣いてるんだろうな俺。

教卓の上に横たわって胸の上で、手を組んで、あぁ、目の前が暗くなった。どうしようもない不安感。今なら白雪姫の気持ちが分かる気がする。
あれ?あれれ?何でだろ、涙がでてきた。
だめだめとまって!なんか恥ずかしいじゃんか。




「…そんな所でなにしちょる、気持ち悪いのう。」




なんじゃ先に越されてたし、俺の唇が大きな嘘をついた。俺の方が先に葬式するはずだったのに、ブン太って人の心が読めるんか。恐ろしい奴。

って、よく見たら泣いとるじゃないか。あぁ愛しいブン太が泣いてる。勝手に動く足に逆らわず、俺はブン太の前にたって見つめる。頬に涙の筋が幾つもできてて。吸い込まれるようにその筋に唇を合わせた。




「仁王…てめぇの方が気持ち悪りぃ、死ね」

「なんじゃ、死んでないじゃんか。まあ、これでおあいこじゃろ」




死ぬならいっそ、俺の両手で、愛しいあなたの首を絞めさせて。そうしないときっと、寂しくなった兎みたいに死んじゃう。でも、俺が死んだらブン太が葬式あげて、あぁ、ついでに結婚式もあげよう。









あぁ、どうか静かに眠らせて。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ