愛
□指先が凍った
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穴が開くのは一瞬、穴が残るのは一生だってウサギは言った。でもさ、やっぱり好奇心ってやつ?年ごろの少年はつまらない事に力を入れて常に財布は空っぽな訳だ。
つまり、白い服を赤い水で洗って白くなる原理と同じなの。
ピアスって痛いのかなって思ったらどうしても考えが頭から離れない、だから大先輩に聞いてみた
丸井先輩は痛いってゆってた。仁王先輩は痛くないってゆってた。これは確かめないと駄目だよね?だから目の前にある安全ピンなんて怖くないよ
でも誰か居たら心強いのに、なんて仲間を求める俺って馬鹿。
「あんまり強く刺すと添えてる指に針が刺さるよ」
「幸村部長…なんか用っすか、いま俺忙しいんですけど」
「後ろに消しゴムとか置いて刺しなって言いたかっただけだよ。赤也は危なっかしいから」
「そんなもん無くても一緒じゃないっすか、消しゴム勿体ない気がして使えないっすよ」
「じゃあ見てて良い?こういうのすっごい興味ある」
「…300円で良いっすよ」
安全ピン消毒しなくて良いの?ティッシュはあるの?とかなんか沢山口出ししてくる幸村部長にキスしてくださいって頼んだら優しいキスしてくれました。なんつーんだろ、安心して出来るなって決心出来たの幸村部長のおかげです、ありがとう部長。
プツッ
鈍い音と微かに脈がある痛みが耳に走った。
痛いのかな、どっちかって言うと心地良い痛みっていうのかなー…あ、ちょっと血が垂れちゃった、まあいっか。少しだけ余韻に浸っていたら幸村部長がギュってしてくれて温かかった。そしてほんのり優しい匂いがした。うっとりしてて涙が出てき
たからゴシゴシ腕で証拠湮滅しました。だって恥かしいじゃん、そしたら耳に刺さってる安全ピン閉じてお大事にって。
その時部長の頭の上に天使が見えた
「お前ホントに安全ピンで開けたのかよ!馬鹿じゃねーの!」
「まぁ自分で決めたことじゃろ、偉いえらい」
「じゃあ明日お前にピアスプレゼントしてやるよハートの可愛いやつな?」
残ったものなんてなかったけど唯一小さな1mぐらいの穴が俺の耳に残った。
家に帰ったら血が付いたワイシャツと耳に安全ピンが刺さったままの俺を見て母さんは叫んだ!
お前はなんて
馬鹿なの!