□良いことがあったんで
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かさつくこの季節はいろんな怪我しちゃうんだよね。唇切断とか指切りだったりとか。友達の悪口言ったりすると心がかっさかさになるってシロが、ちなみにそれはあってると思うよ。

でも丸井先輩が仁王先輩と一緒に居ると、胸がいがいがするんだ。って、なに乙女チックになってんだ俺!どうしてくれるミルクチョコレート君!




「やっべ、唇切れそう」

「舐めときゃ治るさ」




あー、良いこと聞いた。丸井先輩が唇切れそうなんだって、これって凄くない?神様ありがとう!今から薬局行って丸井先輩の嫌いなメンソレータムのリップクリーム買って「プレゼントように包んでください」ってニコニコしながら言うの。
店員さんきっと「頭おかしいのかな」なんて考えながらピンクの包装紙で俺の愛ごとリップ包み込んで「プレゼント喜んでもらえると良いですね」って俺の妄想を遮断する。
でも、今126円しか無いから俺の唇あげようかな。でもいらねぇって返されるな、きっと。




「いってぇ、唇切れた!」

「丸井先輩大丈夫っすか?」

「いや!ほんと誤魔化し無しで痛いから、グラムで言うと1tとちょっと位痛い!」




単位があってないよ、そんな所も全部好きですけど。唇はさっき話してた時より荒れてて痛そうだった。現に、もう遅くて血が出ちゃったんだけどね。傷口は少し深めで血がいっぱい出てたからすかさずティッシュを先輩に寄付。俺って凄いいい子ちゃんだな。上唇が切れたから唇と唇の間を血が伝わって丸井先輩の口は瞬く間に真っ赤っかになってんだ。

鉄分が減る!どうしよう!なんて声に出して、本当に可愛い先輩を好きになれて良かったなー…

って考えながら丸井先輩の唇に滲んでいる赤い液体を自分の唇に密着させてみた、ら。丸井先輩の顔は爆発してしまうくらい真っ赤で、血は背筋がつんってなるくらい冷たかった。俺も丸井先輩みたいに馬鹿で強引で我儘で貪欲でお花が大好き
な人間になりたかったな。



「なにすんだよ、ばぁか!海に返してやろうか陰毛野郎!俺が勝手にそう言うことする人大嫌いなのわかってやったのかテメーは!」

「いや、痛そうだなって思ったらつい」




って言ったら丸井先輩のとびっきり痛いビンタが俺の左頬に飛んできた。しかも良く考えてみたら丸井先輩のいい所ってどこなんだ?










あぁ!お花が好きな所だ

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