□胃酸のワルツ
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「女の子にモテようなんて考える奴はろくな奴いない、そうじゃろ柳生」

「そんな事聞かれても…」

「男子にモテようなんて考える奴は死ねばいい」

「現に仁王君はその様な本を読んでるじゃありませんか」





眼鏡を直しながら俺の手元にある本を指摘する柳生は不思議そうな顔して俺に問う。誰かが間違えて机に入れた本を、ただ読んで感想を言ってみたら柳生は分からないと首を傾げてた。本当かっこいいね。カッコマンじゃん柳生。

「男にモテる法則」

なんか気分的に読みたくなってみてみたけど、やっぱり俺男だし媚び売って話せないし。女の子って大変だね。丸井くんは俺に首ったけなのかな、それとも大嫌いなのかな。知りたいけど知りたくないから黙っておこう。こんな事で丸井くんを赤也にあげたくないから。





「仁王君は一途でいいですね」

「柳生も一途じゃろ」

「まあ、いろいろですよ」

「柳生は好きな奴おらんの、委員長とか可愛いしのう」

「私はブン太君が好きです」

「…この本お前にやるよ、勉強しな」





大好きな親友が大好きな彼を好きだなんて、俺には重過ぎてさっき飲んだカルピス吐き出しそうで。本を柳生にあずけて俺の足は美術室に向いた。ムズムズする胃の中の食物を美術室の水道に吐き出してやろうなんて悪趣味なこと考えて、美術室に駆け込んだ。そんでもって、無残な俺を迎えてくれたのは白い石膏。慰めの言葉無しに石膏は白い目を向いて動かない。石膏の顔が余りにも不愉快なので俺は石膏の頭のてっぺんにゲロ吐いた。俺の胃酸で溶けちゃえば良いのに。

ほんと、柳生は赤也とくっつけば良いのに






















あぁ、俺の背中をさすってる柳生はまぼろし?

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