□酸欠マーマレードボーイは
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思春期の妄想は要注意なの。
丸井君のこと考えながらピー
ナッツバター塗ったパンをお
じさんの頭に投げ付けてるよ
うなこと考えてる。マーマレ
ードの瓶を食パンの上でひっ
くり返して無邪気に笑う少年
がまるで身近に居るんじゃな
いかと思うくらい、俺の脳内
は異常って訳だ。

身長は小さいくせに、感情は
無駄にでかい丸井くんが俺の
前をちょこまか歩くたびに心
臓がドキドキする。脳が溶け
て腕が麻痺してく。丸井くん
には歩く小さな核爆弾の称号
をあげよう。




「あー、それ以上俺の前を動
くと食べちゃうよ」




携帯の液晶に放った言葉には
これっぽっちの力も無くてゆ
らゆらと映る何も知らない丸
井くんは、あと一個しかない
電池で動いてる。お願いだか
ら消えないで俺のリトルボー
イ、誰かこの気持ちに気付い
て俺をハートの山から引きず
り出して!




「やっべー、電池切れたから
仁王の携帯貸してくんね?」

「ん、いいよ」

「うわ、画面に唾液沢山付い
てんだけど!」

「あー、よだれよだれ。気に
しないで使いんしゃい」

「きったねー!ってか電池ね
ーし!」




根本的に間違ってるんだけど
、なんていって丸井くんは人
差し指と親指で携帯を摘んで
床に放り投げた。ほんと言う
とね、丸井くんの味がするか
と思って舐めたわけです。で
もほんのり飴っぽい味したの
は丸井くんに似た味覚障害が
俺に乗りうつったからだろう
な。不覚にも携帯が甘いお菓
子みたいに思えた。








(愛してるぜ、マーマレード
ボーイ!)


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